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2009/02/13

素直か剛直か

 ある人と話をしていて名前のことが話題になった。
 「日本人はいいですね、名前に意味があるから、、、。やはり、いい名前をつけてもらったら、そうなるように努力しようと思いますよね。それに、名は体を表すっていうけど、名前を見るとその人がわかるような気がしますよね、、、」
 そう私が言い、
「でもね、直子って、なんて言うのかな、剛直って感じでしょ。頑固で譲らなくて、、、」

 すると、話をしていた、私よりもずっとずっと若いその人は、
「素直、って言うのは、剛直とは正反対のことですね。素直っていうのは、柔軟っていうことでしょう。自分の思い込みにこだわらず、目の前の真理をきちんと受け止め、自分の考えを正す柔軟性をもっているっていうことですよね」
と会話に何の淀みも与えずさらりと返答してきた。

 自分の名前について、こんなに深いことを教えてもらったのは生まれて初めてだった。

 そうだ、本当にその通りだ、と思った。

 自分の思い込みに独善的にならないでいられるというのは、人間の理性だ。眼前の現実に目をそらさないというのは、真理を追う、真の意味での科学者、探求者に欠かすことのできない資質だ。

 こんなに長い間自分の名を背負ってきたのに、今までそのことに気付かなかったのだな、とハッとさせられ、ジンと胸が熱くなる瞬間だった。

 そうか、名前に負けないように頑張らなくっちゃ、と心密かに、子供のように思ったのだった。